アトピー性皮膚炎の疾患概念
アトピー性皮膚炎とは皮膚のバリア障害があり、様々な因子による刺激反応やアレルギー反応が皮膚に生じて起こる慢性、再発性の疾患です。特に小児アトピーではこれらの各因子のうち、食物、細菌、発汗、環境アレルゲンなどの比重が高く、喘息や、アレルギー性鼻炎、結膜炎などの合併、家族歴を認めやすいです。
小児の15-20%にみられますが、乳児の7割は3歳までに寛解するといわれております。基本的な病気の概念は、皮膚のバリア機能の低下により肌が刺激に弱くなった状態です。正しいスキンケアと、お薬の治療で必ずよくなる病気です。ご家族も神経質にならず、ゆっくり向き合っていただきたいと思います。
アトピー性皮膚炎の治療目標
アトピー性皮膚炎は、遺伝だから仕方がない。治らない病気だから。ステロイドは怖い薬だから悪い時だけ使う。などという先入観で、根本治療をあきらめてしまっている患者さんが多く見受けられます。
決してそんなことはありません。病気の本態を一緒に理解していただき、体質を改善していきながら、薬がいらない体作りを目指して、治療を行っていきたいと思います。
アトピー性皮膚炎は「良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主な病変とする病気」と定義されます。遺伝的な体質(アトピー素因、皮膚のバリア機能が弱い)に様々な刺激(皮膚をこすったり引っ掻いたりする行為、汗、石鹸、化粧品、紫外線など)、およびアレルギーを起こす物質などの環境(ダニ、カビ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛など)による要因や精神的な要因(ストレス、過労、睡眠不足など)が絡み合って発症すると考えられています。乳児では2ヶ月以上、幼小児、成人では6ヶ月以上症状が続くとアトピー性皮膚炎と診断されます。
アトピー性皮膚炎の分類治療の3原則
1:スキンケア、適度の清潔を保つ
- 通常は1日1回の入浴、シャワーを浴びる。
- 温まるとかゆみが増すことがあるので、湯船のお湯は熱くしすぎない。長湯をしない。
- 夏場や汗をかいた後はそのまま放置しない。湿疹ができやすい状態となります。特に汗のたまりやすい、首、手足の関節の裏側、皮膚が服でこすれるところは要注意です。
- 石鹸は肌にあったものを選び、泡立てて手のひらで洗い、よく洗い流す。ナイロンタオルでこすることは絶対にしないでください。
- 室内は清潔に保ち、適温適湿の環境を作る。カーペットやマットは清潔に保つ。
- 刺激の少ない衣類を着用する。綿100%の下着をお勧めします。
- 爪は短く切り、掻き壊しによる皮膚障害を避ける
- 入浴後は、タオルで拭いた後すぐに保湿剤を塗りましょう
- 紫外線対策に心がけましょう。
2:薬による治療は自己判断で行わない
<塗り薬>
- ステロイド外用薬:炎症を抑える作用があります。薬の強さは5段階あり、症状にあった強さの薬を選びます。皮膚から吸収されるステロイドは、口から飲むステロイドの量と比較すると約3%程度です。副作用が怖いからといって、十分な量を塗らないと湿疹が改善せず、結果として使用が長期に及んでしまうこともありますので。また、炎症が長く続くと、色素沈着の原因となります。普通のけがと同じです。炎症をなるべく抑えて、早く治すことが肝要です。毎日1日2回の頻度で塗り、塗る量の目安は1FTU(finger tip unit:人差し指第1関節まで押し出した量)で、成人の手のひら2枚分の面積としてください。軟膏を皮膚の上でのばすのではなく、手のひらで伸ばした後、のせるように皮膚に塗布してください。皮膚の発疹の改善とともに、徐々に強さを弱める、または塗る回数を減らしていき、症状がひどくならないかどうかを確認しながらやめていきます。自己中断は絶対にやめてください。
- ステロイド外用薬:炎症を抑える作用があります。薬の強さは5段階あり、症状にあった強さの薬を選びます。皮膚から吸収されるステロイドは、口から飲むステロイドの量と比較すると約3%程度です。副作用が怖いからといって、十分な量を塗らないと湿疹が改善せず、結果として使用が長期に及んでしまうこともありますので。また、炎症が長く続くと、色素沈着の原因となります。普通のけがと同じです。炎症をなるだけ抑えて、早く治すことが肝要です。毎日1日2回の頻度で塗り、塗る量の目安は1FTU(finger tip unit:人差し指第1関節まで押し出した量)で、成人の手のひら2枚分の面積としてください。軟膏を皮膚の上でのばあすのではなく、手のひらで伸ばした後、のせるように皮膚に塗布してください。皮膚の発疹の改善とともに、徐々に強さを弱める、または塗る回数を減らしていき、症状がひどくならないかどうかを確認しながらやめていきます。自己中断は絶対にやめてください。
- 免疫抑制剤外用薬:長期間使用しても副作用がないというメリットがあり、特に顔や首の皮膚の発疹には高い適応があります。
- 保湿剤:皮膚の状態、季節、患者さんのライフスタイルに合わせて、保湿剤を処方いたします。皮膚の表面に保護膜を作ることにより、バリア機能を保ち、再発を防ぎます。
<飲み薬>
- 抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬):補助的にかゆみを抑えます。
- ステロイド内服、免疫抑制剤内服:他の治療での効果がよくない患者さんに使用する場合がありますが、短期投与にとどめます。
- 漢方薬:アトピー性皮膚炎の治療の本態は、体質改善です。漢方薬を飲むことにより、その方の体質に合った、漢方薬を処方させていただきます。
3:悪化因子の検索ならびに対策
- アトピー性皮膚炎は小児の場合、2歳ころまでは食物アレルギーを合併することが多く、血液検査を行って、原因検索をしたり、上記スキンケアの指導を徹底し、悪化を防ぎます。成人アトピー性皮膚炎は小児例より、精神的ストレスが増悪因子と考えられており、正しい生活リズムを保ちつつ、無理のない薬物治療、スキンケアを患者さん一人一人にあった形でご提案していきます。
紫外線治療(ナローバンドUVB)
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、白斑、円形脱毛症などへの最新の紫外線療法
外用、内服治療で効果が不十分だった方に新しい治療法の選択肢が増えました!!
紫外線治療とは、太陽光に含まれる紫外線(UVA、UVB、UVC)のうち、皮膚治療に有効性が確認された波長域(311nm)を持つ紫外線を照射し、免疫反応や細胞の増殖を抑え、原因となる免疫細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することによって皮膚病を治す方法です。ステロイドの外用療法などと違い、皮膚が薄くなる、萎縮するなどの大きな副作用もなく、安心してお受けいただける治療となっています。また高い寛解率も有する治療法です。
当院で使用している「ダブリン7シリーズ」は、三面鏡型で扇状に開いて紫外線を当てることができるので、照射はごく短時間に終了します。
下記の治療は保険が適用となります
- 尋常性白斑
- 尋常性乾癬
- 掌蹠膿疱症
- アトピー性皮膚炎
- 慢性苔癬状粃糖疹(類乾癬)
- 菌状息肉症
- 円形脱毛症
*手荒れ、結節性痒疹等については保険適応がありません
紫外線治療のよくあるご質問
- 痛みはありますか?
- 痛みや熱感は、ほとんどありません。
- 治療はどれぐらいの間隔ですればいいのですか?
- 週に2~3回の治療が理想です。効果のあらわれ方や治療回数は、症状や肌タイプによって個人差がありますので、医師にご相談下さい。
- 副作用はありますか?
- 紫外線は、短時間で大量に浴びると炎症などをおこす可能性があると知られていますが、照射量や治療回数の上限を守って的確に行えば有効な治療法です。心配な方は医師にご相談ください。