乾癬(かんせん)とは
慢性の皮膚の炎症性疾患で、皮膚の赤みや盛り上がり、フケのような白いかさぶた、痒みが主な症状です。全身どこでもできますが、特に被髪頭部、四肢の伸側、腰部に好発し、免疫作用の過剰な働きが、原因の1つと分かってきています。
日本では約10万~20万人いると推定され、欧米と比べると少ないですが、最近は徐々に増加傾向があります。また、肥満やメタボリック症候群との関連も指摘されています。日本では性差があり、男性が女性の2倍とされています。
何らかの遺伝素因のもとに、種々の誘因により発症します。家族歴に乾癬のあるものは約5%で、その場合より若年発症になる傾向があるといわれています。
乾癬の治療
皮膚の症状が限局しているような症状の軽い方は主にステロイドやビタミンD3の塗り薬を用います。広範囲に症状のある方では身体に害のない波長の紫外線療法や飲み薬(ビタミンA誘導体や免疫作用を抑える薬)も用いられます。当院には紫外線療法の機械設備があり、紫外線治療法を受けることができます。
新たに生物学的製剤と呼ばれる注射薬が使えるようになりましたが、高額な薬剤であることと、全ての方に受けられるとは限りません(感染症や結核等の病気がある方には投与できません)。日本皮膚科学会認定施設でないと受けられないと決められています。
紫外線治療(ナローバンドUVB)
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、白斑、円形脱毛症などへの最新の紫外線療法
外用、内服治療で効果が不十分だった方に新しい治療法の選択肢が増えました!!
紫外線治療とは、太陽光に含まれる紫外線(UVA、UVB、UVC)のうち、皮膚治療に有効性が確認された波長域(311nm)を持つ紫外線を照射し、免疫反応や細胞の増殖を抑え、原因となる免疫細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することによって皮膚病を治す方法です。ステロイドの外用療法などと違い、皮膚が薄くなる、萎縮するなどの大きな副作用もなく、安心してお受けいただける治療となっています。また高い寛解率も有する治療法です。
当院で使用している「ダブリン7シリーズ」は、三面鏡型で扇状に開いて紫外線を当てることができるので、照射はごく短時間に終了します。
下記の治療は保険が適用となります
- 尋常性白斑
- 尋常性乾癬
- 掌蹠膿疱症
- アトピー性皮膚炎
- 慢性苔癬状粃糖疹(類乾癬)
- 菌状息肉症
*円形脱毛症や手荒れ、結節性痒疹等については保険適応がありません
紫外線治療のよくあるご質問
- 痛みはありますか?
- 痛みや熱感は、ほとんどありません。
- 治療はどれぐらいの間隔ですればいいのですか?
- 週に2~3回の治療が理想です。効果のあらわれ方や治療回数は、症状や肌タイプによって個人差がありますので、医師にご相談下さい。
- 副作用はありますか?
- 紫外線は、短時間で大量に浴びると炎症などをおこす可能性があると知られていますが、照射量や治療回数の上限を守って的確に行えば有効な治療法です。心配な方は医師にご相談ください。