円形脱毛症とは
円形脱毛症とは、何の前触れもなく突然、髪の毛が抜け始める病気です。コインのように円く脱毛するのが基本ですが、1箇所と限らず多発することもありますし、頭部だけでなく毛髪のあるところならどこでも生じる可能性があります。一般的に自覚症状はありませんが、脱毛前や活動期に軽いかゆみや違和感、淡く赤みを帯びることもあります。
円形脱毛症の分類
円形脱毛症は脱毛斑の数、範囲、形などにより分類されます。
- 通常型円形脱毛症
最も多い病型の一つです。類円形の脱毛巣が単発または多発して起こります - 全頭脱毛症:進行して頭髪のほとんどが脱落したもの
- 汎発性脱毛症:脱毛が全身に拡大するもの
- 蛇行状脱毛症:頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの
円形脱毛症の脱毛部では、本当に毛が脱落して無くなっています。 そこではどの毛穴でも毛根が縮んで休止期のようになっているのですが、その原因は、成長期の毛根が一様にリンパ球による炎症で壊されてしまうからです。
どうして、自分のリンパ球が自分の毛根を攻撃してしまうのか、その理由は完全には分かっていませんが、一種の自己免疫病だと考えられています。
円形脱毛症の病因、病態
病因として様々な説が提唱されていますが、近年は毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられています。疲労や感染症などの肉体的/精神的ストレスを引き金に、毛包由来の自己抗原をターゲットにした自己免疫反応が誘発されるということも想定されますが、明らかな誘因がないことが多いです。
また、家族内発生、アトピー素因(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、軽いアレルギー性鼻炎)、橋本病などの甲状腺疾患(8%)、尋常性白斑(4%)、SLE、関節リウマチあるいは重症筋無力症などの自己免疫性疾患が合併することが知られています。爪に小さな凹み、横の溝などの変化が1/4の患者さんにみられます。
円形脱毛症の治療
脱毛範囲、発症した時期、症状が固定されているか進行しているか、その方の年齢等から治療方法を選択します。
始まったばかりの場合や小範囲しか脱毛していない場合は、ステロイドやフロジン液などの外用療法やグリチロン、セファランチンの飲み薬、アトピー素因のある患者さんには抗アレルギー薬の飲み薬で様子をみます。 広く脱毛している場合や1年以上も続いている場合は、冷却療法や局所免疫療法(人工的に皮膚をかぶれさせる治療)、紫外線療法が適応となります。
脱毛が進行している場合は、ステロイド内服やステロイドパルス療法が選択されます。 症状が固定され、治りにくい患者さんにはステロイドを局所注射することがありますが、注射部位副作用の皮膚委縮、脂肪萎縮がおきることがありますので、十分注意が必要です。
紫外線治療(ナローバンドUVB)
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、白斑、円形脱毛症などへの最新の紫外線療法
外用、内服治療で効果が不十分だった方に新しい治療法の選択肢が増えました!!
紫外線治療とは、太陽光に含まれる紫外線(UVA、UVB、UVC)のうち、皮膚治療に有効性が確認された波長域(311nm)を持つ紫外線を照射し、免疫反応や細胞の増殖を抑え、原因となる免疫細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することによって皮膚病を治す方法です。ステロイドの外用療法などと違い、皮膚が薄くなる、萎縮するなどの大きな副作用もなく、安心してお受けいただける治療となっています。また高い寛解率も有する治療法です。
当院で使用している「ダブリン7シリーズ」は、三面鏡型で扇状に開いて紫外線を当てることができるので、照射はごく短時間に終了します。
下記の治療は保険が適用となります
- 尋常性白斑
- 尋常性乾癬
- 掌蹠膿疱症
- アトピー性皮膚炎
- 慢性苔癬状粃糖疹(類乾癬)
- 菌状息肉症
- 円形脱毛症
*手荒れ、結節性痒疹等については保険適応がありません
紫外線治療のよくあるご質問
- 痛みはありますか?
- 痛みや熱感は、ほとんどありません。
- 治療はどれぐらいの間隔ですればいいのですか?
- 週に2~3回の治療が理想です。効果のあらわれ方や治療回数は、症状や肌タイプによって個人差がありますので、医師にご相談下さい。
- 副作用はありますか?
- 紫外線は、短時間で大量に浴びると炎症などをおこす可能性があると知られていますが、照射量や治療回数の上限を守って的確に行えば有効な治療法です。心配な方は医師にご相談ください。